株式会社アナザーヒストリー Another History

コーチングブログ

目的論:人間の行動には全て目的がある

コーチングやコミュニケーション、アドラー心理学の宮越流解説。今日は、『目的論』について解説します。

どんな未来を作りたい? 大切にしていきたいものは何?

私たちは人生の主人公であり、未来は私たち自らがつくることができるもの。それがアドラーの言う主体論でした。

だとしたら次に考えたくなるのは、「どんな未来を作りたいのか?」「大切にしていきたいものは何なのか?」「つまり目的は何なのか?」ということだと思います。

自分の人生の目的に気づき、それを大切にしながら日々選択をして未来を切り拓いていく。そうすることで私たちは幸せになれるはずだからです。

だからコーチは、クライアントに
「それは何のため? 何が目的なんだろう?」
「本当に大切にしたいこと(目的)はなんだろう?」
などと問いかけるのです。

私たちの常識の世界は……

認知論のところで見たように、私たちは過去に(気づかないうちに)作ってしまった自分の常識(主観)の世界に住んでいます。ですから、下手をすると過去のパターンのまま考えて、行動することを続けます。

その結果、本来あったはずの未来の様々な可能性が閉ざされ、未来が過去の延長線上になってしまいかねません。だから未来に意識を向けて、過去は気にせずに、本当の目的を問い続けることが大切なのです。

私たちのコーチングではこのことを重視するため、クライアントと「制約ない未来」を想像します。今現在、それが実現しそうに思えなくても、どうしたらそれが実現できるか分からなくていいのです。

過去にできた常識はいったん脇において、未来を想像してみることで、これまで気づいてこなかった(もしくは無いことにしていた)本当の目的に気がつくこともあります。

アドラーの高弟であったドライカースは、問題に苦しむ人にさえ問いかけました。

「私が薬を差し上げたとして、この面接室を出るなり完全によくなったと想像してみましょう。そうしたら、あなたの人生で何が違っているのでしょうか。前とは違ったことを何かするでしょうか」

困っている人がいたら、どう考える?

困っている人がいたら、問題の原因を探して取り除こうとするのが一般的かもしれません。困っている本人だって、原因を探すことで何とかしようとしていることも多いはずです。

でもアドラーのやり方は違うのです。

相手が困っている状態だとしても、一緒に気づいていきたいのは『クライアントの目的』なのです。「問題が完全になくなったら、どんな人生を生きているのか?」その答えを聴きたいのです。

なぜなら、仮に問題の原因が分かったとしても、それは過去の解説にしかなりません。それだけでは、クライアントは本当に望む未来を手に入れることはできない。

だからクライアントの目的を知って、その上で、それに向かってできること(選択肢)に気がついて、新しい行動を試してもらいたい。そのことによって未来を少しずつでも作っていってもらいたいというのが、私たちの考え方なのです。

人間の行動には全て目的がある

また、アドラーは、『人間の行動には全て目的がある』と言います。

例えば、子どもが学校に行かないときのことを考えてみましょう。私たちは、行動(この場合は不登校)にはなにか理由があると考えます。ですから、その理由を知りたいと思うわけです。

私たちがすぐに考える理由は「原因」です。原因に関心があると、こんな問いが頭に浮かぶかもしれません。

「この子は何で学校に行かないのだろう」(どんな原因があるのだろう)

でも、行動の理由は「原因」だけではないのです。

もう1つの理由が「目的」です。

「何のためにその行動をするのだろうか?」という観点です。

そう考えてみると、違う問いが頭に浮かびます。

「この子は何のために学校に行かないのだろう」(どんな目的があるのだろう)

一般的には、前者のようなアプローチが多いはずです。

その結果として、クラスの人間関係、本人の性格、担任の関わり、親の育て方、体調の変化、などが原因とされるかもしれません。

ところが、私たちは後者のように考えてみるのです。すると、
「好きなことをして過ごすため」
「親の関心をひくため」
「人間関係の中で傷つかずにいるため」
「心身を休めるため」
などの子どもの目的に気づいていくのです。

その上で、私たちは、その目的について一緒に考えます。

「◯◯の行動を取っているのはどうも☓☓の目的があるようだ。その目的を満たすには他にどんなやり方があるのだろう?」

「もっと大切なことはなんだろう?(更に上位にある目的) 本当に望んでいる未来はなんだろう? どうしたらそれを叶えられるのだろう?」

「この目的は過去にできたもので、 冷静に考えてみると今は不要ということはないだろうか?」

などを考えてみるわけです。

これらのことを考えながら、本人が『今望んでいること』と『未来に向けて望むこと』に気づき、それらを実現していく方法を見つけていこうとする。それが私たちのやり方です。

原因を考えることを否定するわけではありません

私たちは、原因を考えること(原因論)を否定するわけではありません。原因を理解することで
問題を回避できることもあるからです。

ましてや、原因論で考えているクライアントを批判することなどありません。クライアントには原因論で考えたり原因のせいにしたりせざるを得ない背景があったから、そうしているだけなのです。

ですから私たちコーチは、クライアントの原因論も受け入れながら、目的についても一緒に考えていきたいというスタンスをとります。(実際のところは、目的論なき原因論は虚しいが、目的論とともに使われたら原因論も効果を発揮することもあると考えています)

原因を指摘しても、勇気を奪うだけ

アドラーはこうも指摘しています。

『人の心理は物理学とは違う。問題の原因を指摘しても、勇気を奪うだけ。解決法と可能性に集中すべきなのだ』。

これが、私たちが気をつけたいもう1つの点です。

原因論でアプローチすると、自分のダメなところや相手のダメなところが見つかっていくことが多いのです。

ダメなところを発見し、それを責めるようなことが少しでも起こると、感情的になったり落ち込んだりしかねません。主人公として人生を切り拓く勇気が損なわれかねないのです。

ですから、そんな危険を察知したら、原因論と目的論の違いについてクライアントに話をして、一緒に目的論で考えてみることをすすめることもあるのです。(このようなことを心理教育といいます)

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