コーチングブログ
主体論:人間は自分の人生を描く画家である
コーチングやコミュニケーション、アドラー心理学の宮越流解説。今日は、『主体論』について解説します。
私たちはよく、「人はみな人生の主人公だ」と言います。
未来の真っ白なキャンバスに絵を描いて、そこに向かって生きていくような生き方。この「人生の主人公は自分であり、自分の人生は自分で創ることができる」というのが、「主体論」という考え方です。
自分の生まれ(DNA)や家族の状態、受けた教育や資産状況そして周囲の環境。それらによって人生は決まってしまっている。そう思えるときもあるかもしれません。こんな考え方を「決定論」と言います。
もちろん、過去や環境の影響はゼロではありません。
でも、考えてみてほしいのです。私たちにはいつも選択肢がありました。実際、親がどう言おうと、上司や友人がどう言おうと、自分で決めたこともあるはずです。そして、誰かの言うことに従ったときでも、従うことを決めたのは自分なのです(と考えてみましょう)。
そして、それら全ての決断が私たちの人生をつくってきたのです。
『重要なことは、人が何を持って生まれたかではなく、与えられたものをどう使いこなすかである』
と、アドラー心理学の創始者 アルフレッド・アドラーは言います。
私たちはこれまでも、持っているものを使いながら人生をつくってきました。そして、そのことを思い出せば、これからはもっと意識的に選択し、持っているものを活用して自分の人生を生きていく主人公になれると思うのです。
このことから、アドラー心理学は「使用の心理学」であるといわれます。
今この瞬間も、私たちには自分が気がついている以上にたくさんの選択肢があり、どれを選ぶかは自分次第です。そして私たちが選択、実行したことが、私たちの未来に影響をあたえていくのです。もちろん一つの選択をしただけで自分の人生や相手との関係がガラッと変わることは少ないかもしれません。
しかし、
私たちは自分の意思で選択をし続けることができます。
そのことで、未来に何らかの影響をあたえ続けることができる。それも確かなことなのではないでしょうか? 私たちは、運命に翻弄される無力な存在というわけではないのです。だから私たちは、瞬間瞬間の選択を大切にしたいと思っています。
想像してください。目の前にたくさんある扉。そのどれかを開く。私たちはその作業を毎瞬毎瞬続けているのです。
これまでは意識せずにいたときのほうが多かったかもしれませんが、あなたが選んで開けてきた扉によってあなたの人生がつくられてきたのです。
だから、いま目の前にどんな扉があるかに気づいて、どの扉を開けたらどんな未来が生まれていくのか? それを想像してから扉を選び新しい世界に入っていきたいのです。
このことを学んだのならば、ぜひこれまでよりも意識的に選択してみてください。そして、それを続けてみてください。小さなことでいいのです。むしろ小さなことを積み重ねるつもりがいいかもしれません。
望む未来を生み出すために、選択をして、実行する。
それを続けるなかでだんだんと、「自分で選択しているんだ」「自分の選択が未来をつくるんだ」「それが他人へと社会へと影響しているんだ」と実感ができると思います。
それは自己効力感といわれる感覚とも近いのではないでしょうか。この感覚がつよくなればなるほど、夢を描くこともたやすくなります。逆に、この感覚が弱いと、「叶いっこない夢など描かない」となりかねないのです。
私たちがそれを体験できたら、クライアントにもそれを体験してほしいと思います。「自分が人生の主人公である」「自分の行動が未来に影響を与える」そう思えるようになることでクライアントは幸せに近づいていく。そう思いませんか?
それもコーチの仕事のひとつなのです。