コーチングブログ
共同体感覚:判断に迷った時は、より大きな集団の利益を優先する
コーチングやコミュニケーション、アドラー心理学の宮越流解説。今日は、『共同体感覚』について解説します。
自らの能力を活かして他人の役に立ったときに、人は幸せを感じる
自分の目的さえ達成されたら、人は幸せであると言えるのでしょうか?
アドラーの答えはNOです。
私たち人間は「共同体感覚を持てたときに幸せ」であるというのが、アドラーの考えだからです。
では、「共同体感覚」とは何でしょうか?
「人間は弱く生まれたから、協力することを覚えた」と、アドラーは考えます。
他人と協力することで生き延びることができた。そのため、私たちにとっては、共同体のメンバー(成員)である感覚(共同体感覚)を持てていることが大切なのです。
共同体(コミュニティ)のメンバーであるとは、そこに自分の居場所があって、自分にも役割があることです。私たちは自然とそれを求めます。
小さい子どもを見ているとわかるのではないでしょうか。自分の居場所を求めるだけでなく、何か人の役にも立とうとしています。それが私たちの本性なのではないでしょうか?
だから、「自らの能力を活かして他人の役に立ったときに、人は幸せを感じる」と、私たちは考えているのです。
もう少し細かく、前提になる要素も含めて説明してみます。
・自己受容(そのままの自分を受け入れていること)
・他者信頼(相手を協力しあえる対象と思えること)
・所属感(自分の居場所を感じていること)
・貢献感(人の役に立てると思えること)
これらがあったときに、幸せを感じると考えているのです。
そしてコミュニティの中にあってこれらの感覚が持てている状態を、「共同体感覚を持っている」と言っているのです。
家庭でも地域社会でも会社でも構いません。まずは、今所属しているコミュニティでこの感覚が持てるようになると、私たちは幸せを感じることができます。
そして、より大きな共同体に対しても(例えば日本、アジア、世界など)この感覚を感じることができるようになれば、生涯にわたって、より大きな安心と幸せを感じることができるようになるのではないでしょうか?
『世界が今必要としているのは、新しい大砲でも、新しい政府でもない。それは共同体感覚だ』
これは、第一次世界大戦に軍医として従軍した後のアドラーの言葉です。「人は(人類や生命)全体の一部であり、その全体とともに生きていると実感していること」が共同体感覚であり、それこそがこれからの世界に必要なのだと指摘したアドラー。
21世紀に生きるコーチである私たちもそのメッセージを受け取って、全ての人が広い世界に対して
共同体感覚を持てている未来に向かって行動をしていきたいと願うのです。
ですから、私たちのコーチングでは、クライアントと未来を考えるときに、クライアントの目的だけでなく、周囲の人たちへの影響も考えます。クライアントの自己実現と、周囲への貢献が両立するような未来を発見しようとするのです。なぜなら、それがクライアントに幸せをもたらすと考えているからです。