コーチングブログ
質問は「指示命令」
相手の話を聴いていて、質問したくなったら
アドラーの思想やロジャーズの態度を自分のものにしたのなら、あなたから出てくる質問は、何であれ相手へのよい刺激になるはずです。ですから、相手の話を聴いていて質問したくなったら、その直観に従ってみてください。
ただし、質問について知っておいてもらいたいことがあります。
それは、「質問は指示命令である」ということです。
例えば、「どんな未来にしたいですか?」という質問は、「(いま話していることをやめて)未来どうしたいか考えて答えなさい」ということなのです。
「指示命令だから質問はよくない」ということではありません。しかし、気をつけて質問をしないと、相手がしている話が深まらず、どんどん突拍子もない方向に展開しかねません。
コーチには、ぜひ相手の話を深めていく質問もマスターしてほしいのです。
相手の話を深める質問
相手の話を深めていくといっても、難しいことではありません。
まずは、
「◯◯っていうのは?」
「どうして(そう思った)?」
「他には?」
「言ってみてどう?」
「だけど?」
「だから?」
という質問を覚えて使ってみるだけです。
私たちのスクールでは、これらを『インタラクティブリスニングの質問』と呼んでいます。
これは『無知の知』という態度の表れなのです。相手の話を分かった気にならずに、「◯◯っていうのは?」ときいてみる。そうすると、相手はそれを説明しようと、もっと具体的な別の表現をしてくれます。
そうする中で、クライアントも、自分自身が話していることの理解を深めていくのです。
「◯◯っていうのは?」という質問の例
クライアント(CL)「最近やる気がないんですよ」
コーチ(CO)「そうなんだ……。やる気がない、っていうのは?」
CL「うーん……。やる気がないっていうか……、もしくは集中が続かないってほうが近いかな……」
CO「そっか、集中が続かない……。っていうのは? もう少し教えて」
CL「うーん。なんか、あれこれやらなきゃいけないことが結構あって、ちゃんと取り組めてないんですよね……。そっか……、やりたいことがないわけじゃないんだけど、時間がうまく使えてないし、なんだか疲れちゃってるんですね」
この例のように、クライアント(CL)の話をコーチ(CO)が分かった気にならずに、「◯◯っていうのは」と質問するだけでもクライアントは探索的になり、自らの状態に気づいていくのです。
まずは、この「◯◯っていうのは?」からでいいので、使う練習をしてみてください。